新建築社のブログ

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『新建築』掲載ニュースで振り返る2017年(下半期)

<本記事は2017年の『新建築』に掲載された記事を転載し、再編集したものです>

 

 

2017年7月号

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信濃美術館整備事業設計業務の公募型プロポーザル,最適候補者にプランツアソシエイツを選定

去る6月5日,長野県は「信濃美術館整備事業設計業務」の公募型プロポーザルの結果を発表.2次審査選定者4者で3次審査を行い,プランツアソシエイツを最適候補者とした.審査委員には岸和郎氏,谷口吉生氏,古谷誠章氏,宮城俊作氏など.次点はSANAA.その他の2次審査選定者は陶器二三雄建築研究所,栗生総合計画事務所・山下設計.

同計画は,長野市城山公園内での美術館の新築,既存解体,外構,公園整備の基本設計・実施設計を行うもの.

最優秀案は,敷地東側から西側の善光寺に至る12mもの高低差を活かし,信州の山並みと呼応するような「ランドスケープ・ミュージアム」を提案.3つのレベルを設けることで,多方面からのスムーズなアプローチを可能とし,施設の多様な利活用に対応し,周囲の敷地を一体的に結び付ける計画としている.2019年3月に着工し,2021年3月の完成予定.新本館の建設事業費は約100億円程度が見込まれている.

 

長崎市新庁舎建設基本設計業務の公募型プロポーザルで山下設計JVを特定

去る5月27日,長崎市は「長崎市新庁舎建設基本設計業務」の公募型プロポーザルの結果を発表.1次審査選定者4者で2次審査を行い,山下設計・建友社設計・有馬建築設計事務所 特定設計業務共同企業体を受託者として特定した.次点は槇総合計画事務所・石本建築事務所・三建設計綜合事務所 特定設計業務共同企業体

同計画は,築後50年が経過し,建物の老朽化や業務上の不便さなどが指摘されている現在の市庁舎を建て替えるもの.公会堂および公会堂前公園敷地での建設が予定されている.

最優秀案は,長崎市の既存のオープンスペースと連鎖し,人びとが集うことのできるように「市民ひろば」や「食のひろば」などさまざまな性格を持った「ひろば」を配置し「ひろばのような庁舎」を目指すもの.延床面積は約52,500m2程度.建設工事費は236億円程度が見込まれている.工事は2019〜22年度を予定.

 

羽田空港跡地第1ゾーン整備事業(第一期事業)」の提案概要が公表

去る6月1日,大田区は「羽田空港跡地第1ゾーン整備事業(第一期事業)」の提案概要を公表.事業予定者は鹿島建設を代表としたグループ.

「HANEDA Future Core 〜ここに日本の未来があつまる〜」をコンセプトに,アート&テクノロジーホール,クリエイティブモール,体験型施設などの文化産業や先端医療研究センター,ベンチャーオフィスや研究開発ラボなどの先端産業の施設,「羽田エリアマネジメント」を実施する共通事業の施設が入る総延面積125,400m2の規模の施設郡を計画.2018年度に着工し,2020年の4〜7月にまち開きを予定,2022年度に全施設を開業することを目指している.

 

手塚貴晴+手塚由比がGLOBAL AWARD FOR SUSTAINABLE ARCHITECTURE 2017を受賞

手塚貴晴+手塚由比がGLOBAL AWARD FOR SUSTAINABLE ARCHITECTURE 2017を受賞した.

同賞は現代の持続可能な発展について深く考察し,設計活動において活気的なアプローチを試みる建築家5組に毎年送られるもので,2006年にサステナブルデザインを手掛けるドイツの建築家のJana Revidin氏によって設立され,フランス・パリのシテ建築遺産博物館が運営している.2016年には隈研吾氏も受賞している.

本年は建築家と資源の関係性に焦点が当てられ,物質としての資源のほか,時間経過や科学の発展により日々更新される技術などの無形資源を取り込んだ活動に重点が置かれた.そのほかの受賞者はBrian MacKay-Lyons et Talbot Sweetapple(カナダ),Sonam Wangchuk(インド),Assemble(イギリス),Paulo Davidポルトガル

 

工学院大学新理事長に後藤治氏

2017年5月26日に行われた理事会で工学院大学理事長に後藤治氏を選任し,同日付けで就任することとなった.工学院大学HPに掲載されたメッセージでは,2013年に開始した留学プログラム「ハイブリッド留学」などについて触れ,実践力に溢れた,社会に貢献するグローバルな人材の育成を目指すなど抱負を語った.

後藤氏は1960年京都生まれ,1988年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程中退後,文化庁文化財保護部建造物課文化技官,1999年工学院大学工学部建築都市デザイン学科助教授に就任,2011年より同大学同学部同学科教授,同大学常務理事を務めていた.

 

第28回JSCA賞発表ー作品賞で奥出久人氏「市立吹田サッカースタジアム

日本建築構造技術者協会(JSCA)は,第28回JSCA賞(委員長:和田章)の受賞者を発表した.

作品部門では,14件の応募の中から作品賞に「市立吹田サッカースタジアム(本誌1512)を手がけた奥出久人氏竹中工務店,奨励賞に「日本橋ダイヤビルディング(同1410)の浜田勇気氏竹中工務店が選出された.新人賞は「G.Itoya(同1509)の川口恵氏大成建設と「TOYAMAキラリ(同1603)の斎藤慶太氏(アール・アイ・エー)が受賞.

また業績部門・業績賞には「新宿三井ビルディングの制震改修(同1603)で瀧正哉氏,黒川泰嗣氏の2名鹿島建設,「国内外のAND巡回展による構造設計(者)の顕在化と活性化への貢献」で宮里直也氏日本大学理工学部教授)が受賞した.

 

住宅宿泊事業法が成立,届け出により民泊が可能に

去る6月9日,所有する住宅を旅行者などに有料で貸し出しをする「民泊」の普及に向けた決まりを定める「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が参議院本会議で可決され,成立した.これまでは民泊を始めるためには簡易宿所免許を取るなどの方法しかなかったため,実状として民泊施設の大半が無許可で運営されている状況だった.

同法では,都道府県知事に住宅宿泊事業者として届け出をすることで,所有する住宅を民泊サービスとして提供することが可能になる.1年間の提供日数の上限は180日,標識の掲示などが義務づけられる.また,家主は騒音防止の対応なども求められる.来春にも施行が予定されている.

 

2016年度DOCOMOMO Japan選定作品発表

近代建築の記録と保存を目的とする学術組織「DOCOMOMO Japan」(代表:松隈洋)は,2016年度,「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」として以下の11件の建築を選定した.これにより,選定作品は計208件となった.2016年選定の作品は以下の通り(作品名/設計者/施工者/竣工年)

三岸好太郎・節子アトリエ/山脇巌/永田建築事務所/1934年 

国際基督教大学ディッフェンドルファー記念館/ヴォーリズ建築事務所/大成建設/1958年 

社会保険横浜中央病院(現 地域医療機能推進機構(JCHO)横浜中央病院)/山田守/安藤建設/1960年 

宮津市庁舎/沖種郎(連合設計社)/豊国建設/1962年 

小原流家元会館ほか(小原流盛花記念センターほか)/清家清/新工務所/1962年 

親和銀行大波止支店/白井晟一/金子組/1963年 

紀伊國屋ビルディング/前川建築設計事務所前川國男間組/1964年 

全日本海員組合本部会館/大髙建築設計事務所(大髙正人)鴻池組/1964年 

大阪府臨海スポーツセンター/槇総合計画事務所槇文彦/銭高組/1972年 

▷レジデンシャルホテル ムーンビーチ(現 ホテルムーンビーチ)/国建(国場幸房)/國場組/1975年 

熊本県立美術館/前川建築設計事務所前川國男間組/1977年

 

東京都,無電柱化推進条例成立,都道上への電柱新設原則禁止に

去る6月7日,都議会本会議で「無電柱化推進条例」が可決され,成立.東京都道での電柱新設が禁止となった.都道府県がこうした条例を定めるのは全国初となる.条例では,防災機能を強化し,災害時に電柱が倒壊し道路をふさぐのを防ぐことや,安全快適な歩行空間の確保,良好な都市景観の創出に向け,計画的に無電柱化を進めると明記されている.

同条例は9月1日に施行され,今後は関係事業者と協力し,電線を地中に埋める工事を進めるために必要なコスト削減方法の調査や技術開発などさまざまな議論を行っていくとのこと.現在の都道での電柱の地中化率は,2016年度末で39%.

 

第5回京都建築賞発表

去る6月1日,京都建築士会は第5回京都建築賞を発表.京都建築賞の最優秀賞は若江直生氏,吉野優輔氏,水上和哉氏日建設計による「京都産業大学 サギタリウス館」,奨励賞は多田正治氏,遠藤正二郎氏(多田正治アトリエ)による「しづやKYOTO(本誌1609).また,特別賞には香山壽夫氏,佐伯和俊氏,下川太一氏(香山壽夫建築研究所による「ロームシアター京都(同1603).藤井厚二賞は魚屋繁礼氏(魚屋繁礼建築研究所による「太秦安井の住宅(新建築『住宅特集』1305)が選出.

京都建築賞は,過去4年以内に京都府内で竣工した建物が対象,藤井厚二賞は竣工年に規定はなく,去年と同じく「木」というテーマが与えられた.

 

鹿島建設が神社施設で初めて純木質耐火集成材を適用

去る6月5日,鹿島建設は「神田神社(仮称)文化交流館新築工事」で同社が東京農工大学森林総合研究所,ティー・イー・コンサルティングと共同で開発した純木質耐火集成材「FRウッド」を採用することを発表.神社施設での適用は今回が初となる.

「FRウッド」は燃え止まり層にも木材を用いた耐火集成材.環境負荷低減や国内林業の活性化への貢献を期待されている.

同計画は,730年に創建され,2029年に創建1300年を迎える神田神社の記念事業の一環として建設される地上4階・地下1階建ての文化交流館.「FRウッド」は2〜3階の吹き抜け部分の柱・梁に適用される.

 

農地の企業向け用地への転用が原則可能へ 7月にも閣議決定

物流の利便性が高い高速道路のインターチェンジ周辺などの立地に,商業施設や物流拠点の新設を促すため,政府は農地を企業向け用地へ転用できるようにする.農地法に関する政令を改正し,7月にも閣議決定する予定.

今回新たに転用を認めるのは5つの農地区分のうち,自治体が定めた農用地区域内にある「農用地区域内農地」,10ヘクタール以上で良好な営農条件を備えた「第1種農地」.過去8年以内に土地改良し,特に良好な営農条件を備えた「甲種農地」は改正後も転用は原則,認めない.農家の高齢化による離農者などの増加を見越し,地域雇用の受け皿を増やすことで,地域創生に繋げるのが狙い.

 

2017年8月号

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甲佐町住まいの復興拠点施設整備設計」公募型プロポーザルで岡野道子建築設計事務所+ビルディングランドスケープが最優秀賞

去る7月3日,熊本県は「甲佐町住まいの復興拠点施設整備設計」の公募型プロポーザルの結果を発表.1次審査選定者5者で2次審査を行い,岡野道子建築設計事務所+ビルディングランドスケープを最優秀賞とした.次点はアトリエ・アンド・アイ.その他の1次審査選定者はワークステーション・モードフロンティア・KAY設計共同体,野沢正光建築工房,シーラカンスアンドアソシエイツ.

同計画は,県が取り組んでいる「くまもとアートポリス事業」のプロジェクトのひとつとして熊本地震で被災した熊本県甲佐町に災害公営住宅30戸と子育て支援住宅20戸,都市防災公園を一体的に整備するもの.

最優秀案は,甲佐町の風の流れに即したまちの軸である「みんなの道」をつくり,「風の広場」「みんなの家」「みんなの原っぱ」といった交流の場を繋ぐことで,多世代の交流を生み出すことを目指した計画.また,縁側,土間で室内と外部を繋ぎ,光や風を取り込む自然に近い暮らしを生み出す.

敷地面積は約12,800m2.災害公営住宅は平屋の木造で1戸あたり約65m2で,同敷地内に約60m2の集会施設「みんなの家」も併設される予定.子育て支援住宅は中層の鉄筋コンクリート造で1戸あたり約75m2.都市防災公園は約3,000m2程度が想定されている.災害公営住宅は2018年8月,子育て支援住宅は2019年度,都市防災公園は2018年度の竣工を目指す.

 

「アンスティチュ・フランセ東京」増築計画に藤本壮介氏を指名

駐日フランス大使を審査委員長とするフランス外務省の審査委員会は,フランス政府の公式機関「アンスティチュ・フランセ東京(旧 東京日仏学院(本誌5111)の再整備事業に藤本壮介氏を指名.

同計画は,老朽化や2011年3月の震災による構造強度の不十分さ,物理的なスペースの不足が指摘されている既存2棟の改修に加え,新棟を建設するもの.

「アンスティチュ・フランセ東京」は,1951年に竣工した坂倉準三建築研究所設計の小さな研究所.その後,1961年に第2棟が建設され,教育・文化・芸術活動の拠点のひとつとして利用されてきた.新棟の延床面積は1,237m2.2020年夏の竣工を目指す.

 

AR HOUSE 2017 発表

英国の建築誌『Architectural Review』が主催するAR HOUSE 2017の受賞作品が発表.最優秀賞はEdward Ng, Ximan Chi of CUHK, and KUSTによる「Anti-seismic house」(中国・光明),優秀賞にはオスロ建築デザイン大学+隈研吾建築都市設計事務所による「Inverted House」(日本・北海道,本誌1604)ほか15点が選出された.AR HOUSEは世界の優れた戸建住宅を表彰するもので毎年開催されている.今年の審査員は英国の建築家ジェイミー・フォバート氏とトニー・フレットン氏,同誌編集長のクリスティン・マレー氏が務めた.

優秀賞の「Inverted House」は,LIXIL住生活財団が主催する世界の大学を対象とした実施指名コンペ「第5回LIXIL国際大学建築コンペ」(2015年)で最優秀案に選ばれ,北海道大樹町の「メム メドウズ(同1201)と同敷地内に建設された.住宅が持つシェルターとしての役割を根本から問い直し,内部と外部の関係を再編成している点が評価された.

 

東京建築賞 第43回建築作品コンクール入賞作品発表都知事賞は「G.Itoya」

東京都建築士事務所協会(会長:大内達史)は,第43回「建築作品コンクール(東京建築賞2017)」の入賞作品を発表した.東京建築賞は,関東甲信越地方に建てられた戸建住宅,共同住宅,延床面積3,000m2未満の一般一類とそれ以上の一般二類の4部門において,それぞれ最優秀賞・優秀賞・奨励賞を設定.また今年からはリノベーション部門が新設された.選考は栗生明氏(選考委員長)他10名による選考委員会によって行われた.

最優秀,優秀賞作品は以下の通り.(作品名=設計者)

東京都知事賞】

G・Itoya(本誌1509)大成建設

【東事協会長賞】

草津温泉湯畑周辺再整備計画(御座之湯・湯路広場・熱乃湯)(同1609)=北山孝二郎+K計画事務所

【戸建住宅部門】

最優秀賞

On the water(同1510)日建設計

優秀賞

常盤の家=石井秀樹建築設計事務所『新建築住宅特集』1608) 

南阿佐ヶ谷の家−おおきい小さな家=小石川建築ノ小石川土木

共同住宅部門】

最優秀賞

▷a-blanc=ゼロワンオフィス

優秀賞

GATE SQUARE小杉陣屋町(『新建築』1508)竹中工務店 

大森ロッヂ運ぶ家(同1508)=古谷デザイン建築設計事務所

【一般部門・一類】

優秀賞

▷早稲田小劇場どらま館=竹中工務店

【同・二類】

最優秀賞

▷池袋第一生命ビルディング=竹中工務店

優秀賞

つくばみらい市立陽光台小学校(同1511)=梓設計

【リノベーション賞】

東京経済大学大倉喜八郎進一層館(同1606)=佐藤総合計画

 

第12回日本構造デザイン賞発表ー受賞は,伊藤潤一郎,加登美喜子,萩生田秀之+喜多村淳,腰原幹雄の5氏に

去る7月31日,日本構造家倶楽部(会長:新谷眞人)は,第12回日本構造デザイン賞を発表.

日本構造デザイン賞は,「太田市美術館・図書館(本誌1705)で伊藤潤一郎氏(Arup),「熊本県立熊本かがやきの森支援学校」で加登美喜子氏日建設計,「新豊洲ブリリアランニングスタジアム(同1703)で萩生田秀之氏(KAP)+喜多村淳氏(太陽工業)が受賞.松井源吾特別賞は,「木質構造デザインの普及・発展に対する顕著な貢献」で腰原幹雄氏東京大学が受賞した.

選考委員は,斎藤公男(委員長)西沢立衛,赤松佳珠子,金田充弘山田憲明の5氏.

本賞は,構造デザイン活動の活性化と建築文化発展への寄与を目的として2006年にスタートし,優れた成果を発揮した設計者,技術者を毎年顕彰している.授賞式・記念講演会は,9月8日に東京デザインセンター(東京都品川区)で行れる.

 

神奈川大学みなとみらいキャンパス(仮称),基本・実施設計に三菱地所設計

神奈川大学は,横浜市西区のみなとみらい21中央地区43街区に建設予定の新キャンパスの基本・実施設計の担当を三菱地所設計に決定した.コンストラクション・マネジメントは日建設計コンストラクション・マネジメントが担当.みなとみらい21中央地区で初の大学キャンパスとなる.

設計コンセプトはあらゆる「人」が集い「知」が交流する拠点としてのソーシャルコモンズ.低層には交流ゾーンを設け教育以外にもさまざまな事業を手がける予定.2018年9月着工,2020年11月完成,2021年春の開学を目指す.

 

YKKのパッシブタウン第3期街区J棟が集合住宅で初めて国際的なエネルギー建築評価規格「パッシブハウス認定」を取得

去る6月30日,YKKグループは同社が富山県黒部市に建設した,パッシブタウン第3期街区 J棟が「パッシブハウス認定(エナフィット クラシック)(ドイツ・パッシブハウス研究所が規定する国際的なエネルギー建築評価規格)の認証を取得したことを発表した.集合住宅での認定は国内初となる.

J棟は,既存の社宅YKK茅堂社宅 J棟)を改修したもの.ヒートブリッジ対策や外断熱,高性能樹脂窓の採用などのパッシブなアプローチにより外皮性能を高め,冷暖房負荷などの消費エネルギーの大幅削減を実現している.また,鉄筋コンクリートのバルコニーを減築することで構造的な負担を軽減し,エレベータの新設や住戸サイズ,住戸数の変更などが図られている.設計はキーアーキテクツ+設計組織プレイスメディアランドスケープ

パッシブタウンはYKKグループが社宅跡地を活用して進める自然のエネルギーを利用した省エネルギーなまちと持続可能な住まいづくりを目指したプロジェクト.現在は3期も終了している.計画全体の完了は2025年,総住戸数は約250戸を予定している

 

日本武道館増築・改修実施設計,山田守建築事務所に委託

公益財団法人・日本武道館が,2020年の東京オリンピックパラリンピックの開催に合わせて計画している日本武道館(本誌6410)の増築・改修工事の実施設計に着手した.設計は,元設計を手がけた山田守建築事務所に委託.

日本武道館は1964年竣工.2020年東京オリンピックパラリンピックに向けた練習施設の不足により,参加選手の人数に対応できない恐れを見越して,南側の敷地に新たな練習施設「中道場(仮称)」を増築する.本館とは地下通路で接続し,行き来を可能にする.「中道場(仮称)」の着工後には,2019年9月に本館を休館し,既存の大屋根などの改修工事に取りかかる.2020年6月の完了を予定.

 

鹿島建設シンガポールで大型複合施設開発プロジェクトに着手

去る6月26日,鹿島建設は同社のアジア開発事業統括会社であるカジマ・デベロップメント社とシンガポール政府系のメディア企業であるシンガポール・プレス・ホールディングス社が共同で設立したシンガポール法人が,ビダダリ地区での住宅・商業の複合開発プロジェクトに着手したことを発表した.

同事業は,シンガポール都心から北東約5km地下鉄(MRT)北東線ウッドレイ駅に直結する土地の開発事業.600戸を超える分譲住宅,延床面積約27,000m2のショッピングモールやコミュニティ・クラブや警察署などのプログラムで構成される大型プロジェクトとなる予定.

 

大和ハウス工業インドネシアで都市開発事業に参画

去る7月7日,大和ハウス工業は,海外交通・都市開発事業支援機構,インドネシアデベロッパーTRIVO社とともにインドネシア共和国ジャカルタ南東部の都市開発事業「サウスイーストキャピタルプロジェクト(仮称)」に参画することを発表.日本製品・設備の採用などが予定されている.

同事業は,ジャカルタ中心部から南東約24kmに位置する約12haの敷地において,約5,000戸の住宅と商業施設を整備するジャカルタ南東部最大規模の複合都市開発事業.交通アクセスの改善,水辺・緑地空間を備えた豊かな住環境の形成,LRTとの連携などが行われる予定.竣工時期は2024年度の予定.

 

平成29年7月九州北部豪雨」,福岡県などで深刻な被害

7月5〜6日にかけて,対馬海峡付近に停滞した梅雨前線により線状降水帯(積乱雲が列をなした線状に伸びる雨域)が発生したことで,九州北部地方で記録的な大雨となった.福岡県朝倉市大分県日田市などでは24時間降水量の値が観測史上1位の値を更新した.それにより,福岡県・大分県を中心に死傷者や河川の氾濫,土砂崩れ,ライフラインや交通網の寸断などの被害が多数発生.20日現在,死者数は36人,重軽傷者28人,行方不明者7人に上る.また住家被害は全壊が102棟,半壊が35棟に上る.19日,福岡県朝倉市東峰村では応急仮設住宅の建設が開始.1カ月での完成を目指す.

 

2017年9月号

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青森県平川市,「新本庁舎建設設計」公募型プロポーザルでナスカ一級建築士事務所JVが最優秀者

去る8月9日,青森県平川市は新本庁舎建設設計業者選定の公募型プロポーザルの結果を発表.1次審査選定者5者で公開プレゼンテーションとヒアリングを行い,平川市新本庁舎建設設計NASCA・八州・構設計共同企業体を最優秀者に選定した.次点は平川市新本庁舎建設設計山下・工藤設計共同企業体

同計画は,1979年に建設され,施設の老朽化,耐震性と機能性の問題が生じている現在の平川市役所本庁舎を建て替えるもの.また分庁舎や支所などの集約化も図られる.敷地は現市役所本庁舎と隣接した旧平川診療所を合わせた敷地を活用する.

最優秀案は,三角形のユニークな形状の意匠で,不整形な敷地を上手く活用.また,ロングスパンの鉄骨フレームを採用することで免震装置を減らし,経費の縮減を実現している.三角形の形状が街の新たな顔となるポテンシャルを秘めている点,敷地の東西を緩やかに繋ぎ,敷地利用の一体化が図られている点,環境面においても建築環境総合性能評価システム(CASBEE)やネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)等の導入について費用対効果の面で検討しながら,外壁等の性能を上げることで45%の省エネルギー化を実現している点が評価された.総事業費は約52億5,000万円が見込まれており,新本庁舎の配置計画が確定する2017年度内に地質調査を実施,早ければ2019年半ばに工事を発注し,2020年度末の完成を目指す.

 

草加市新庁舎工事基本設計及び実施設計」公募型プロポーザルで石本建築事務所が最優秀者

去る8月18日,埼玉県草加市は「草加市新庁舎工事基本設計及び実施設計」の公募型プロポーザルの結果を発表した.1次審査選定者3者で2次審査を行い,石本建築事務所を最優秀者として選定した.次点は日総建.

同計画は,1965年に建設され築後50年が経過し,老朽化や職員増加などによる狭あい化が指摘されている現在の草加市役所本庁舎を建て替えるもの.

最優秀案は,草加市を訪れる人びとを迎え入れる「まちの縁側」をコンセプトに,門,庭,玄関がある本陣形式を踏襲した提案.かつて宿場町であった草加市のイメージを想起させるデザインにすることでまちの観光拠点となることを目指したもの.まちの魅力創出に繋がるデザイン,利用しやすく無駄のない動線計画,フレキシブルな執務空間,水害対策への具体的な提案,エコボイドによる採光・通風をはじめとした自然エネルギーの積極的な導入などが評価された.

敷地面積は4,759m2.概算工事費は約87億7,000万円.2021年度の完成を目指す.

 

海田町新庁舎整備基本計画策定及び基本設計業務委託」公募型プロポーザルで現代計画・野沢建築工房設計共同体を特定

去る7月28日,広島県海田町は「海田町新庁舎整備基本計画策定及び基本設計業務委託」の公募型プロポーザルの結果を発表した.1次審査選定者5者で2次審査を行い,現代計画・野沢建築工房設計共同体を特定した.次点は山下・車田設計共同体.

同計画は,広島市東部地区連続立体交差事業及び関連街路事業による移転の必要性,現在の町役場本庁舎が抱える施設や設備の老朽化による建物の耐震性や機能性の解決を図るため,新庁舎を建設するもの.

特定者は,「住民参画・協働を促進する庁舎」など9つのコンセプトのもとに街のスケールに溶け込んだ周辺に寄与する新庁舎を提案.計画において候補敷地や周辺環境を読み取っている点,高さを抑え積極的に緑化することで周辺環境と一体になった新たなランドマークをつくり出そうとしている点が評価された.新庁舎での業務開始は2022年度が見込まれている.

 

長野県塩尻市,「新体育館基本設計」公募型プロポーザルでINA・エーシーエ設計共同体が最優秀者

去る8月2日,長野県塩尻市は新体育館基本設計設計者選定の公募型プロポーザルの結果を発表.1次審査選定者3者で2次審査を行い,INA・エーシーエ設計共同体を最優秀者に選定した.次点はアーキディアック.

同計画は,1967年に建設された塩尻市立体育館の老朽化,アリーナの競技規則への不足,体育施設の不足などの問題から,2006年度から進められている.

最優秀案は,緑に浮かぶコミュニティアリーナなどをコンセプトに,人びとを迎え入れるための交流テラス「ブドウ棚キャノピー」,スポーツの空間を東西へ連続させ緑地から公園,街への交流を繋げる「コミュニティアリーナ」,多世代が交流するためのサロン「スポーツフォーラム」など,人びとが集まりたくなる施設を提案.メインアリーナ,サブアリーナを視覚的・空間的に連続させる試みや市民団体等とも協働して進める体制づくりなどが評価された.敷地面積約23,000m2,延床面積5,830m2の鉄筋コンクリート一部鉄骨造の2階建てで,2020年度に完成予定.

 

第5回JIA東海住宅建築賞発表

去る7月28日,第5回JIA東海住宅建築賞が決定し,原田真宏+原田麻魚/MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIOの「傘の家(『新建築 住宅特集』1607)が大賞を受賞した.本賞は,愛知県・岐阜県三重県静岡県の東海4県に建てられた住宅を対象とし,各自が定めたテーマに対して特に秀でた住宅に対して贈られるもの.応募総数47作品の中から1次審査で8作品に絞られ,その後公開最終審査で大賞1作品,優秀賞2作品,審査員特別賞1作品,奨励賞4作品が決定した.今回の審査委員は,堀部安嗣(委員長),手塚由比,前田圭介の3氏.受賞作品は以下の通り.

【大賞】

傘の家=原田真宏+原田麻魚/MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO

【優秀賞】

刈谷の家=谷尻誠+吉田愛/SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.,Ltd. 

光庭の棲(同1708)=川本敦史+川本まゆみ/エムエースタイル建築計画

【審査員特別賞】

nagono no mise(同1704)=平野恵津泰+桑原雅明+吉元学+今井大輔/ワーク○キューブ

【奨励賞】

減築の家=浅井裕雄+吉田澄代/裕建築計画 

名古屋のコートハウス(同1608)=保坂猛/保坂猛建築都市設計事務所 

▷加茂の家=山田誠一/山田誠一建築設計事務所 

▷白と黒の家=米澤隆/米澤隆建築設計事務所

 

伊東豊雄氏,UIA Gold Medalを受賞

7月27日,国際建築家連合(The International Union of Architects, UIA)は2017 UIA Gold Medalの受賞者を伊東豊雄氏に決定したことを発表.UIA Gold Medalは1984年に設立され,社会や建築の推進に貢献した存命の建築家に3年に一度贈られるもの.

これまで1993年に槇文彦氏,2005年に安藤忠雄氏が受賞しており,伊東豊雄氏は日本人では3人目の受賞となる.

審査員は,UIAの会長でありマレーシアの建築家Esa Mohamed氏ら9名が担当.UIAの事務局が推薦した46人の候補の中から選出された.受賞式は,9月6日に韓国・ソウルのCOEXコンベンションセンターで行われる予定.

 

YKK APが窓についての調査・研究を行う「窓研究所アネックス」を新設

去る7月24日,YKK APは同社が取り組む,研究者・建築家とともに窓をアカデミックな視点から調査・研究する「窓学」の新たな拠点「窓研究所アネックス」を10月に新設することを発表.

同施設は,窓や建築に関わるアカデミックな場としての「窓学サロン」,窓に関連する書籍を集めた「窓学ライブラリー」,研究を世界に向けて配信する「窓学スタジオ」によって構成される.設計は建築家の日埜直彦氏が担当.予約制で研究者や大学の研究室などに公開予定.「窓学」は2007年開始,2013年には「窓研究所」が設立され,今年9月末から10周年を記念したイベントが行われる.

 

久米設計新社長に藤沢進氏

2017年9月1日付で久米設計の藤沢進氏が代表取締役社長に就任することとなった.山田幸夫社長は会長に就く.

同社が7月27日に開いた会見で山田幸夫社長は「20年後を見据えた新しい体制をつくるため都市開発,PM・CMができる藤沢氏にトップを交代する」と語った.藤沢氏は,「設計力,デザイン力をベースとしながらもマネジメント能力のあるプロフェッサー・アーキテクトを育てたい」と抱負を述べた.

藤沢進氏は1989年東京工業大学大学院理工学研究科修了後,久米建築事務所(現:久米設計)入社,2014年からは開発マネジメント本部長,2016年から取締役常務執行役員開発マネジメント本部長を務めていた.

 

柳澤孝彦氏逝去

去る8月14日,建築家の柳澤孝彦氏が逝去された.享年82歳.

柳澤氏は1935年長野県生まれ,1958年に東京藝術大学美術学部建築学科を卒業後,竹中工務店設計部に入社.竹中工務店プリンシパル・アーキテクトなどを経て1986年の新国立競技場国際設計競技での最優秀賞受賞を機にTAK建築・都市計画研究所(現:柳澤孝彦+TAK建築研究所を設立.「東京オペラシティビル(本誌9704),「東京都現代美術館(同9505)など公共建築の分野で多くの作品を手掛けた.

 

プレハブ住宅としてはじめて有形文化財登録された「セキスイハウスA型」が保存・公開へ

2016年に「セキスイハウスA型(山崎家及び臼井家別荘)」が建築当初の仕様を残した現存する唯一の住宅として戦後住宅業界の一側面を語っている点が評価され,プレハブ住宅としてはじめて文化庁有形文化財に登録された.

セキスイハウスA型」は積水ハウスが1960年頃に開発・販売を始めたプレハブ住宅.水回り設備を備えた本格的な「国産工業化住宅」の第1号として発売.今回登録されたものは1963年に建てられ,1971年以降に山崎家及び臼井家が所有後,50年以上もの間,別荘として使用されたもの.8月28日に初回の見学会が行われ,今後は保存・公開される.

 

国土交通省日本橋首都高速道路地下移設の方針を発表合わせて日本橋周辺で再開発検討

去る7月21日,国土交通省は東京都中央区日本橋の上を走る首都高速道路を地下に移設する方針を発表.

同日の記者会見で石井啓一国土交通大臣は「1964年の東京オリンピックで緊急整備された日本橋周辺に水辺空間を取り戻し,魅力ある都市景観の再生に向けて首都高速道路の地下化に取り組む」と語った.地下化の対象となる日本橋を含む都心環状線竹橋JCTから江戸橋JCT間の約2.9kmの区間での協議が進んでおり,建設期間は10年以上で2020年の東京オリンピックパラリンピック後に着工する予定.建設費は数千億円にも及ぶ見通し.今後は事業化に向けた国土交通省,東京都,首都高速道路会社の具体的な協議が始まる.また,日本橋周辺の5地区では土地の高度利用に繋がる施設計画の検討が進められている.ビジネス・金融の機能集積を図るほか,首都高速道路の地下化に合わせて,道路と構造が一体になった建築物を建てられる「立体道路制度」の活用を視野に,水辺空間の創出に取り組み,賑わいと魅力の向上を目指す狙い.中央区では,5地区すべてで国家戦略特区制度の認定を想定している.再開発の検討が進められているのは,以下の5地区.

八重洲一丁目北地区 

日本橋一丁目1・2番街区

日本橋一丁目中地区(4〜12番街区) 

日本橋一丁目東地区 

日本橋室町一丁目地区. 

 

2017年10月号

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京都市立芸術大学及び京都市立銅駝美術工芸高等学校移転整備工事設計業務」公募型プロポーザルで乾・ RING・フジワラボ・o+h・吉村設計共同体が受託候補者

去る9月11日,京都市京都市立芸術大学及び京都市立銅駝美術工芸高等学校移転整備工事設計業務に係る受託候補者の選定についての公募型プロポーザルの結果を発表.1次審査通過者6者でヒアリングを行い,乾・RING・フジワラボ・o+h・吉村設計共同体が選定された.次点はC+A・平田晃久・スキーマ・ティーハウス設計共同体.その他の2次審査参加者は,山本・石本設計共同体,kwhg・Tato・安井設計共同体,槇総合計画事務所,宮本・宮本・ドット・デネフェス・オンデザイン設計共同体.

同計画は,建学から140年経つ京都市立芸術大学を京都駅東部エリアへ移転整備するもの.また,高大連携の推進等の効果を狙って京都市立銅駝美術工芸高等学校が同じ敷地に移転整備される.

受託候補案は,「ひとつのまちが生まれ成長するように大学をつくる」,「つくる・つかう・のこすが融合したプロセス」,「地域の生活空間とともにある有機的なキャンパス」の3つの方針に基づくフレームの下に,まちと共に成長し続けるキャンパスを提案.京都のみちと奥庭の性質を取り入れた繋がりを生み出す仕掛けや多様な対話を実現するためのチームづくり,更新を容易にする2段階の構造の仕組みなどが評価された.敷地面積は約38,000m2.延床面積は約63,000m2.2023年度の供用開始を目指す.

 

第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館のキュレーターに貝島桃代氏

国際交流基金(ジャパンファウンデーションは,第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館キュレーターに,貝島桃代氏アトリエ・ワン筑波大学准教授,チューリヒ工科大学教授)を指名コンペで選出.選考委員の関係者ということで再選考が行われたが,同じく同氏が選出された.

第16回総合ディレクターはYvonne Farrell氏とShelley McNamara氏.テーマは「フリースペース」.2018年5月26日〜11月25日に開催される.

日本館の企画タイトルは「東京発 建築民族誌─暮らしのためのガイドブックとプロジェクト」.暮らしを産業側からではなく,生活者側から描くために生態学的,建築的に把握する「建築民族誌」というコンセプトを掲げる.その社会的共有ツールとして土地独自のコンテクストに組み込まれた建築を紹介するガイドブックに着目.世界各地の自然や地形,まちづくりなどをリサーチしてまとめた建築ガイドブックを集めることで,建築・都市論の議論のプラットフォームを構築し,21世紀の建築を照射するのが狙い.展覧会は以下の4つの内容からなる.

①ガイドブックを収集,マッピング化.

②ガイドブックの広がり(東京から他の都市へ,都市から自然へ,調査から実践への展開)を分析,提示.制作者へのインタビューなどのまとめ.

③建築ガイドブックから派生した実践について取材し,模型,映像などでレポート.

④横町の制作,これを活用した建築・都市論の議論の場としてのカフェバーの定期的運営と記録・発信.

 

芽室町役場庁舎建設基本設計者選定」公募型プロポーザルでアトリエブンク・創造設計舎設計共同企業体が最優秀者

去る8月20日,北海道河西郡芽室町は「芽室町役場庁舎建設基本設計者選定」公募型プロポーザルの結果を発表.1次審査選定者6者で公開プレゼンテーションとヒアリングを行い,最優秀者にアトリエブンク・創造設計舎設計共同企業体を選定した.次点は三菱地所設計・モリ建築設計室設計共同企業体

同計画は,1968年に竣工し,老朽化やバリアフリー対応の不足などの問題を抱える現庁舎を建て替えるもの.

最優秀案は,「町民のための新しい芽室町役場」をコンセプトに3方向からアクセス可能なループ動線を持った正方形プランの庁舎を提案.周辺との繋がりなど同町が抱えている課題に的確に応えた点が評価された.地下1階,地上3階建てで,延床面積約4,300〜4,500m2の想定.2021年度の供用開始を目指す.

 

第29回高松宮殿下記念世界文化賞発表─建築部門はラファエル・モネオ氏

去る9月12日,日本美術協会は第29回高松宮殿下記念世界文化賞の受賞者を発表し,建築部門ではラファエル・モネオ氏が受賞した.

同賞は日本美術協会によって1988年に創設され,絵画,彫刻,建築,音楽,演劇・映像の各分野で世界的に顕著な業績をあげた芸術家に毎年授与される.

同氏は1937年スペイン・ナパラ州生まれ.マドリード工科大学建築高等技術学校で学位を取得後,デンマークの建築家のヨーン・ウッツォンの事務所に勤務後,1965年に事務所設立.ハーバード大学大学院の建築デザイン学部長などを務めた.主な作品は「国立古代ローマ博物館」(『a+u』8908,スペイン・メリダ,1986年),「プラド美術館新館(同1401,スペイン・マドリード,2007年)など.初期の作品から石やレンガを使用しているのが特徴.敷地の歴史背景を重視し,環境と調和させて都市空間に溶け込む建築が評価を受けている.

 

池袋駅西口公園,円形の劇場広場にする計画を発表

去る9月6日,豊島区の高野之夫区長は記者会見を行い,池袋駅西口前の「池袋西口公園」を円形の野外劇場広場にする計画を発表.設計は三菱地所設計+ランドスケープ・プラス共同企業体が担当.

「丸池」と呼ばれた弦巻川の水源池だった同公園の敷地にインスピレーションを得て6つの輪状の庇で形成した円形の劇場を提案.常設の「コアステージ」と仮設の「センターステージ」を備え,イベントの内容によって使い分けることが可能.隣接する「東京芸術劇場(本誌9101)との連携も検討されている.また円形のため全方向からのアクセスが可能.非常時には防災広場ともなる.公園の新名称は「(仮称)GLOBAL RING」.2017年11月末までに基本計画,2017年12月〜2018年8月末に基本・実施設計をまとめる.2019年1月の着工,2019年10月末の竣工を目指す.

 

播繁氏逝去

去る9月5日,構造家の播繁氏が逝去された.享年79歳.播氏は1938年福岡県生まれ.1963年に日本大学理工学部建築学科を卒業し,鹿島建設に入社.

フジテレビ本社ビル(本誌9610)などの構造設計を担当.1997年に播設計室を設立し,1991年に「あきたスカイドーム(同9004)で日本建築構造技術者協会(JSCA)賞,1997年に日本建築学会賞,1998年には「長野市オリンピック記念アリーナ(同9701)で英国技術者協会特別賞,日本鋼構造協会賞を受賞している.SE構法の開発など,木造住宅の耐震化にも取り組んだ.

 

東京五輪,新規恒久施設2017年度内にすべて着工の見通し

2020年の東京オリンピックパラリンピックに向けて東京都が新規に整備する競技会場が2017年度内にすべて着工する見通しとなった.東京都が設計・施工を担うのは新規恒久7施設.現時点で竣工しているのは近代五種(フェンシング)やバドミントンなどの試合で使用する「武蔵野の森総合スポーツプラザ」のみ.

バレーボールアリーナとして使用される「有明アリーナ」江東区は杭工事の施工が9月末まで行われる予定.水泳会場として使用される「オリンピックアクアティクスセンター」江東区は現在基礎躯体を施工中.ボート・カヌー会場として使用される「海の森水上競技場」は競技コース東側の水門構築などの土木工事をメインに施工が進んでいる.アーチェリー会場として使用される「夢の島公園江東区は第1期の盛り土が終了し,2期工事が開始される予定.2017年度内に建築・設備の本体工事に着手するのは,以下の2会場.

▷カヌー・スラローム会場江戸川区 

▷大井ホッケー競技場(品川区・大田区

「海の森水上競技場」,「有明アリーナ」,「オリンピックアクアティクスセンター」の3施設については,2016年度に工費の見直しが行われたが,工期に変更はなかった.いずれも余裕のある工期ではないが,労務管理や安全に配慮しながら施工が進められている.

本番に備えたテストイベントのため2019年末までにはすべての会場整備を終える予定.

 

2017年度日事連建築賞発表国土交通大臣賞に「あたご保育園」

日本建築士会連合会は,2017年度の日事連建築賞の受賞作品を発表.同賞は,毎年優れた建築作品を設計した建築士事務所を表彰することで,建築士事務所の資質の向上を目的としたもの.一般建築部門56点,小規模建築部門64点の応募作品の中から1次審査,2次審査,および現地審査を経て,国土交通大臣賞1作品,日事連会長賞1作品,優秀賞6作品,奨励賞10作品を選出した.

国土交通大臣賞】

あたご保育園」=INTERMEDIA(本誌1707) 

【日事連会長賞】

G.Itoya(銀座・伊東屋)」=大成建設(同1509)

【優秀賞】

[一般建築部門]

つくばみらい市立陽光台小学校」=梓・岡野建築設計共同企業体(同1511) 川通どれみ保育園」=長野建築設計事務所(同1504) 

「北菓楼札幌本館」=竹中工務店安藤忠雄建築研究所・西島設計 

[小規模建築部門]

千葉・版築の家」=薩田建築スタジオ(『新建築住宅特集』1611) 

日南市油津商店街 多世代交流モール」=水上哲也建築設計事務所(『新建築』1609) 

「桜をのぞむ出窓の家」=藤井伸介建築設計室

 

2017年度日本建築学会大会(中国)開催

8月31日〜9月3日,2017年度の日本建築学会大会(中国)広島工業大学「三宅の森 Nexus21」で開かれた.

大会のメインテーマは「育てる」.国内の人口減少や就業者数の減少などの社会背景の中,改めて建築学における「町を育てる」,「建物を育てる」,「仕事を育てる」,「人を育てる」ことの重要性を再確認し,日本建築学会全体で「育てる」という意識を共有することが目的.

2日に行われた記念シンポジウムでは「若者そして未来を育てる」をテーマに,大会のメインテーマの中でも「若者を育てる」に焦点をあて,パネリストとして野老朝雄氏,千葉学氏,モデレータとして大久保孝昭氏広島大学教授)が参加し,大学生・大学院生,地元の高校生も加えて意見交換を行った.

1日には「瀬戸内海と地中海─2つの内海の建築と街をめぐって─」をテーマに講演者として陣内秀信氏,VO TRONG NGHIA氏,モデレータとして岡河貢氏が参加し,記念特別講演を行った.また,世界平和記念堂(本誌5504)の保存修理工事,おりづるタワー(同1609)原爆ドーム原爆資料館本館(同5401)工事現場などの見学会も行われた.登録参加者は約10,300名,記念特別講演には約250名,記念シンポジウムには約200名が参加した.来年は東北大学川内キャンパスで開催される予定.

 

2017年11月号

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「仮称静岡市歴史文化施設建設基本設計」公募型プロポーザルでSANAAを設計候補者として特定

去る10月11日,静岡県静岡市は「仮称静岡市歴史文化施設建設基本設計」公募型プロポーザルの結果を発表.SANAAを設計候補者に特定した(審査委員長:曽根幸一).次点は安井建築設計事務所 東京事務所.そのほかの技術提案書提出者は隈研吾建築都市設計事務所,佐藤総合計画 中部事務所,シーラカンスアンドアソシエイツ,針谷建築事務所,平田晃久建築設計事務所,UAo.

同計画は,「歴史文化から静岡の未来をつくる.〜静岡の過去を学び,今を知る.そして,未来を考える.〜」を基本理念に,「駿府」の歴史を語る場所,市民が専門家・研究者と交流しあうための場所,集客の核となる場所を目指し,博物館機能とビジターセンター機能を備えた施設を計画するもの.

最優秀案は,周囲への圧迫感が軽減されたシンプルな形状の分棟,敷地の各方向から人の流れを取り込める点などが評価された.具体的な設計に関しては今後検討し,2021年度の開館を目指す.

 

「世田谷区本庁舎等整備基本設計業務委託」公募型プロポーザルで佐藤総合計画が最優秀者

去る9月27日,東京都・世田谷区は「世田谷区本庁舎等整備基本設計業務委託」の公募型プロポーザルの結果を発表.1次審査通過者6者で2次審査を行い,佐藤総合計画を最優秀者に選定.次点は梓設計・坂茂建築設計共同企業体.その他の2次審査参加者は,久米設計,環境デザイン・綜企画グループJV設計共同体,kwhg+安井設計共同体,RIA・隈研吾設計共同企業体

同計画は,築後50年以上が経過し,災害対策や区民サービス,環境性能などさまざまな機能の向上が求められている前川國男建築設計事務所による「世田谷区役所本庁舎及び区民会館」を整備するもの.

最優秀案は,「ひとつながりの『世田谷リング』─人をつなぐ,歴史・環境・風景がつながる」をテーマに「広場の継承発展」,「区民会館の保存再生」,「低層型庁舎」の3点の方針を有機的に繋ぐ空間として「世田谷リング」を提案.全体として一体感のあるコンセプト,機能的連携の可能性,来庁者への分かりやすい構成が評価された.2020年度に着工,2025年度に完成予定.

 

「三宮プラッツ改修工事設計業務」公募型プロポーザル委託事業候補者に畑友洋建築設計事務所

去る10月18日,神戸市は「三宮プラッツ改修工事設計業務」公募型プロポーザルの結果を発表.1次審査通過者9者でプレゼンテーションを行い,畑友洋建築設計事務所を委託事業候補者として選定した.

同計画は,三宮中央通り駐車場に隣接する施設「三宮プラッツ」を「『にぎわい』と『いこい』の空間」となることを目指し,改修するもの.

委託事業候補案は,地下での活動を下面が鏡面となった屋根で映し出すことで,活動そのものをシンボルとすることなどを狙った.ランドマーク性とにぎわい性を上手く両立している点などが評価された.2018年度に着工予定.

 

八幡浜市保内総合児童センター(仮称)」デザイン設計競技でアンブレ・アーキテクツが最優秀

去る10月16日,愛媛県八幡浜市は「八幡浜市保内総合児童センター(仮称)」デザイン設計競技の結果を発表.1次審査通過者6者で2次審査を行い,アンブレ・アーキテクツを最優秀作品に選出した.次点は新企画設計,アルファヴィル

同計画は,旧保内地区にある3つの保育所を統合した新しい保育所と児童センターを建設するもの.

最優秀案は,八幡浜市の景観に沿った段々状の大屋根やさまざまな天井高さを持った内部空間を提案.八幡浜らしさを取り入れたデザイン,フレキシブルで交流を促すゾーニングなどが評価された.2019年4月からの供用開始を目指す.

 

手塚貴晴氏が日本人で初めてモリヤマRAIC国際賞を受賞

去る9月20日,カナダ王立建築学(RAIC)は手塚貴晴氏が設計した「ふじようちえん(本誌0705)をモリヤマRAIC国際賞に選出したと発表.建築がもたらす場所としての寛大さ,コミュニティへの還元や周囲の風景への貢献などの点が評価された.

同賞は,2014年にカナダ人建築家のレイモンド・モリヤマ氏とRAICが発足したもの.2年ごとに世界から建築家ひとり(チーム)に賞を授与している.日本人の受賞は初となる.今年のその他の候補はBIG,JOHN WARDLE ARCHITECTS AND NADAAA,MACKAY-LYONS SWEETAPPLE ARCHITECTS.

 

国道交通省が建築基準法改正に向けて議論を開始.建物の用途変更に係る工事で段階的改修工事を可能に

去る10月6日,国土交通省建築基準法改正に向けて議論を開始した.法改正に向けた議論は,社会資本整備審議会建築文科会の建築基準制度部会で進められる.2018年2月までに成果をまとめ,2018年の通常国会に提出する予定.

同議論の最大の柱となるのは,既存建築物の活用促進.現在,築30年を超えた非住宅建築物は全体の半数弱にも上る.そこで,非住宅建築物の用途変更で必要となる大規模改修工事の費用負担を平準化できる仕組みとして,増改築工事の特例措置として運用中の「段階改修制度」の準用が検討されている.同制度を活用することで,最終的に建築物全体が法令に適合するように段階的な工事が可能となる.その他の主な検討課題は以下の通り.

【既存ストック活用】

▷既存ストックの利活用を促進する単体規定等の合理化 

▷既存ストックの利活用を促進する集団規定等の合理化 

▷一時的な建築・利用ニーズへの対応

【木造建築を巡る多様なニーズへの対応】

▷木造建築物の建築・活用を促進するための措置

【適切な維持管理・更新による建築物の安全性確保】

▷安全確保のための適切な維持保全等を促進するための措置 

▷安全確保のための建て替え等を促進するための措

 

平成29年度日本建築士会連合会賞入賞作品発表

日本建築士連合会は,日本建築士会連合会賞入賞作品を発表.同賞は全国20の建築士会に所属する会員の創意と努力に満ちた作品を表彰するもの.84点の応募の中から,優秀賞4点,奨励賞12点を決定した.受賞者は以下の通り.

【優秀賞】

▷海野宿滞在型交流施設 うんのわ=児野登+土本俊和信州大学 

豊中市立文化芸術センター本誌1706)=江副敏史日建設計 

▷雪ノ下の家=石井秀樹 

枚方T-SITE(同1607)=原田哲夫+宮島照久+牛戸陽治竹中工務店 

【奨励賞】

ヤマノイエ『新建築 住宅特集』1705)=津野恵美子 

▷茨城保育園=中山大輔 

▷Kamikatz Public House=中村拓史(NAP建築設計事務所 

YKKファスナー専用機械部品工場=水谷考治+大崎太郎竹中工務店 

▷大塚グループ大阪本社大阪ビル=喜多主税+若林亮+髙木研作日建設計 

代々木テラス(本誌1702)=藤原徹平(フジワラテッペイアーキテクツラボ) 

広島学院創立60周年記念事業 講堂・聖堂=須田修司+寺谷啓竹中工務店+高垣建次郎 

▷うちのうち=小島光晴 

梅郷礼拝堂(同1611)=加藤詞史 

矢吹町中町第二災害公営住宅(同1608)=岩堀未来+長尾亜子 

▷[BEAMS]=河野有悟 

▷東京クラシック 森のクラブハウス・馬主クラブ棟=古谷俊一

 

世界の都市総合力ランキング2017発表─東京は昨年に続き3位

去る10月12日,森記念財団都市戦略研究所が2008年より調査・発表している「世界の都市総合力ランキング」の2017年版が発表された.東京は昨年と同じく3位.「文化・交流」や「交通・アクセス」の分野で2位のニューヨークとの差を縮めた.6年連続の1位となるロンドンは昨年からさらにスコアを伸ばした.

ランキングは世界の主要42都市を対象に調査したもので,経済,研究・開発,文化・交流,居住,環境,交通・アクセスの6分野を総合的に評価する.東京は経済で1位から4位とランキングを落としたが,交通・アクセスで11位から6位まで浮上した.

 

2025年国際博覧会の大阪誘致,会場計画の概要が公表

去る9月22日,2025年の国際博覧会大阪誘致のための関係省庁連絡会議が大阪市で開かれ,会場計画の概要が公開された.開催予定地は大阪市此花区の人工島・夢州.ボロノイパターンを用いた離散型の会場計画とし,ふたつのエントランスとARやMRを活用した展示・イベントが行われる5つの広場「空」,それを繋ぐ大屋根の架かったメイン通りから構成される.

テーマは,「いのち輝く未来社会のデザイン"Designing Future Society for Our Lives"」,サブテーマに「多様で心身ともに健康な生き方」「持続可能な社会・経済システム」.

国連が掲げる2030年のSDGs(持続可能な開発目標)の達成への貢献,IoTやAIなどの先端技術の活用した課題解決を掲げる.また,「未来社会の実験場"People's Living Lab"」をコンセプトに世界中の課題やソリューションを共有するためなどの機能を備えたオンラインプラットフォームを立ち上げる.会場計画を含めた立候補申請文書は9月25日に博覧会国際事務局(BIE)に提出された.

 

香川県立体育館が危機遺産リストに登録される

去る10月16日,米国の非営利団体「ワールド・モニュメント財団」は2018年版の「危機遺産」リストを発表し,日本からは「香川県立体育館」(本誌6506)が選ばれた.

同リストは1996年版から2年ごとに作成され,緊急に保存・修復などの措置が求められる文化財危機遺産として認定するもの.

同建築は丹下健三氏によって設計され,1964年に竣工した.老朽化により香川県は耐震改修を計画していたが,入札不調のため事業が中止され,2014年からは閉館状態となっていた.地元の建築士らが保存のための署名活動などを行い,今後のあり方について議論している.

 

2×4建築物へのCLT利用が可能に

去る9月26日,国土交通省は枠組壁工法(ツーバイフォー工法)において工期の短縮,意匠性,施工性などの観点から,CLTの活用ニーズが高まっていることを受け,従来の精緻な構造計算(限界耐力計算)ではなく,一般的な構造計算(許容応力度等計算)を行うことで,床版および屋根版にCLTを用いることを可能にする新たな基準を発表した.これまで比較的規模の大きい建物で活用されていたが,工期が短く,住宅などの小規模建築物での建築実績が多数ある枠組壁工法でのCLT採用のハードルを下げることで,低層建築物におけるCLTの普及を図る.

 

JIA建築家大会2017四国開催

9月28〜30日,2017年度のJIA建築家大会2017四国が徳島県徳島市の「徳島県郷土文化会館(あわぎんホール)(本誌7112)で開催された.

大会のメインテーマは「建築家と土着─グローカルに生きる」,またサブテーマとして「防災」,「環境」,「AI」が掲げられた.各サブテーマに関連したシンポジウムが行われ,平常時と災害時の境界をなくす「フェイズフリー」や低炭素社会実現に向けた建築のあり方などさまざまなトピックについて議論された.

メインシンポジウムは「建築家と土着 新たなる建築,居住の世界」をテーマに3つのサブテーマのシンポジウムを受けて,原広司東京大学名誉教授)布野修司日本大学特任教授),山本長水氏(建築家)が「土着」を通して,次代の建築のあり方を探った.その他,ギャラリートークやエクスカーション,コンペ審査会などが開催された.

 

2017年12月号

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糸魚川市,「(仮称)駅北大火復興市営住宅実施設計業務」設計者にスタジオ・クハラ・ヤギを特定

去る10月27日,新潟県糸魚川市は「(仮称)駅北大火復興市営住宅実施設計業務委託」の公募型プロポーザルの結果を発表.1次審査通過者8者で2次審査を行い,スタジオ・クハラ・ヤギを設計者として特定した.

同計画は,2016年12月22〜23日にかけて発生した大規模火災により被害を受けた糸魚川市駅北側に新しく住宅18戸,集会所,訪問診療所を建設するもの.

設計者によれば特定案は,建物高さを街並みに合わせて抑えた,3階建ての北棟と2階建ての南棟からなる分棟式の建物.棟の間に中庭を設け「小路」と名付けた共用通路で建物間を繋ぐ.1階に集会所と訪問診療所を計画.住戸はリビングアクセス型のプランとし,南北方向に視界と風が通る設えとしている.また,木材を活用した軒空間を提案.同設計者による「矢吹町中町第一災害公営住宅(本誌1608)の特徴を活かした計画となっている,とのこと.延床面積は約1,600m2,2018年7月に着工し,2019年3月に竣工する予定.

 

国土交通省,木造建築物の防火規制を合理化へ

去る11月13日,来年の通常国会への提出を視野に建築基準法の見直しの議論が進められている社会資本整備審議会国土交通大臣の諮問に応じて建築,建築士や不動産業及び官公庁施設などに関する重要事項の調査審議などを行う審議会)建築分科会の建築基準制度部会(部長:深尾精一)で木造建築物の防火規制の合理化への考え方の案が報告された.

同案は,国内の木材の利用の促進と木造建築物のデザインの多様化の促進が狙い.また,防火性能を高めるための建て替えや改修の促進をする狙いもある.現在の防火規制では,建築物の高さ(13m以上)や立地(防火・準防火地域)に応じて一律に耐火構造にすることが義務づけられている(ただし,共同住宅など多数の人が利用する3階以上の建築物については,避難時間に応じて準耐火構造が認められるように2014年に改正されている)

同案では,高さが13mの場合でも,消火までに建築物が倒壊しない性能を保有していることを条件に,準耐火構造を認める.また,防火・準防火地域においても,外壁や開口部などの外殻などを強化し,延焼しない性能を満たすことができれば,建物内部での木材の利用を可能とする考え.あわせて防火規制の適用対象外とされている高さの基準を最高13mから16m程度にまで緩和することも検討されている.

国土交通省はこれらの木造建築物の防火規制の合理化について,2018年度頃までに導入する予定としている.

 

「戸田みらい基金」が第1回活動報告会を開催

戸田建設は,2016年10月3日に建設産業における担い手育成を目的に「戸田みらい基金(理事長:戸田建設 社長 今井雅則)を設立.

去る10月24日,第1回「若手技能者助成」の助成対象に選出された各社・団体による,取り組み内容や成果,今後の展開などについての報告会が開催された.助成対象の企業・団体は,職人育成塾香川県,竹延大阪府,日高地域人材開発センター運営協会(北海道),平岩塗装(東京都),東和(埼玉県),日本建設躯体工事業団体連合会(東京都)の6つ.

報告された活動は以下の通り.

職人育成塾:仕上げ9業種の職人育成塾の運営,訓練や資格取得・就職のサポート/竹延:職人育成施設の運営,人材定着・育成を目的とした技術の投稿サイト「技ログ」の開発/日高地域人材開発センター運営協会:日高管内の建設業を対象とした土木技術社養成研修/平岩塗装:高卒生の採用・育成に向けた活動/東和:若年技能者の育成と定着を目的とした研修プログラム/日本建設躯体工事業団体連合会:技術職の賃金や地位向上のための新しい公的資格の創出.本財団では,「女性技能者の継続就労に係る助成事業」「外国人技能実習生の受入れに係る助成事業」も実施.今後,順次活動報告会や募集が行われる.

 

東京都,東京五輪各種競技施設の整備費を見直し

去る11月6日,東京都は,東京都議会オリンピック・パラリンピック及びラグビーワールドカップ推進対策特別委員会で2020年東京オリンピックパラリンピックに向けて建設が進められている各種競技施設整備費の一部見直しを行ったことを説明した.

主な詳細は以下の通り.

▷「オリンピックアクアティクスセンター」:環境配慮(地中熱利用設備,太陽光発電,太陽熱利用)の経費に3億円,地中障害物・汚染土の処理に追加で38億円が必要になり,567億円に修正(昨年度縮減案:514〜529億円,当初整備費:683億円). ▷「海の森水上競技場」:環境配慮(遮熱性舗装,太陽光発電,中高木植栽,木材利用)のため10億円追加計上し,308億円(昨年度縮減案:298億円,当初整備費:491億円)

▷「有明アリーナ」:環境配慮(地中熱利用設備,太陽光発電,太陽熱利用,木材利用,再生水活用)のため12億円,高齢者・障がい者のためのエレベーターなどの設置で1億円,屋根・外壁仕様の精査などで5億円追加計上し,357億円(昨年度縮減案:339億円,当初整備費:404億円)

また,「有明テニスの森」は110億円(当初整備費:144億円),「アーチェリー予選会場」は14億円(当初整備費:24億円)に縮減.「カヌー・スラローム会場」,「大井ホッケー競技場」は当初整備費を維持する.

 

全国版空き家・空き地バンクサイトの試行運用が開始

国土交通省は,空き家と空き地の情報を提供する「全国版空き家・空き地バンク」の試行運用を開始した(運営:LIFULL,アットホーム).開示情報の標準化を図りつつ,各自治体の空き家・空き地などの情報を集約して,全国どこからでも簡単にアクセス・検索できるようにするもの.現在空き家・空き地バンクを準備中または全国版に未参加の地方自治体が設置した空き家バンクに向けてイメージを共有し,参加を広げていくために試行版として運用されることになった.

2017年度末までに約1,000の自治体の参加を目標に,掲載物件数の増加・検索機能等の向上・サイト情報の充実を図っていく.

 

第61回神奈川建築コンクール入賞作品発表

去る11月2日,第61回神奈川建築コンクール入賞作品が発表された.本賞は神奈川県の建築文化・建築技術の向上を図り,魅力あるまちづくりを推進するため,県と県内の12市が主催し,県内で過去2年間に完成した建築物が対象となる.

住宅部門の審査委員は,芦原勝,内田青蔵,小澤勝美,小泉雅生,古賀紀江,林義亮の6氏.応募総数全76件(うち住宅部門38件)の中から住宅部門で最優秀賞1点,優秀賞8点,アピール賞1点,一般建築物部門で最優秀賞1点,優秀賞9点が選出された.

各部門の最優秀賞作品は以下の通り.

【住宅部門】

▷「大磯の家」=河野泰治アトリエ

【一般建築物部門】

▷「大和市文化創造拠点 シリウス」=佐藤総合計画 清水建設

 

第14回関西建築家大賞発表

日本建築家協会近畿支部支部長:井上久実)は第14回関西建築家大賞を発表し,「NTT西日本研修センタ本館(本誌1407),「近畿大学東大阪キャンパス整備計画(同1710)を手がけたNTTファシリティーズ 関西事業本部の畠山文聡氏が受賞することとなった.

同賞は近畿支部地域で活躍するJIA建築家に対して優れた建築活動を顕彰することを目的に設立され,過去10年間に2点の建築活動を行った建築家1名に与えられる.

今回の審査建築家は槇文彦氏.「近畿大学東大阪キャンパス整備計画」の空間体験などが評価され,13人の応募者の中から畠山氏が選出された.

畠山文聡氏は1974年生まれ,1998年神戸大学大学院修士課程修了後,NTTファシリティーズに入社,現在,NTTファシリティーズ関西事業本部 建築事業部,近畿大学建築学部 非常勤講師.

 

坂茂氏,日本人で初めてマザー・テレサ社会正義賞を受賞

去る11月12日,「マザー・テレサ社会正義賞」を運営するインド・ハーモニー財団は坂茂氏に同賞を授与することを発表した.同賞の受賞は日本人で初めてとなる.

同財団・同賞は2005年にインド・ムンバイのアブラハム・マサイ博士によって創設されたもの.平和,調和,社会正義の促進を目指す個人または団体に与えられる.過去の受賞者にはノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイ氏などがいる.坂氏が過去20年余りで行ってきた災害支援による人道的活動が高く評価された.受賞式は,12月10日にインドのムンバイで開かれる予定.

 

山下設計新社長に藤田秀夫氏

去る11月6日,山下設計は藤田秀夫代表取締役副社長を代表取締役社長に昇格する人事を内定した.田中孝典代表取締役社長は顧問に就く予定.藤田氏は,入社時から財務・管理畑で同社が手がけるすべての案件の契約面を管理していた.建築設計畑以外からの社長就任は同社創業以来初めてとなる.

藤田秀夫氏は1978年慶応大学経済学部卒業.1991年に同社に入社.2007年取締役常務執行役員,2008年常務,2009年9月代表取締役常務を経て,2009年12月より代表取締役副社長を務めていた.12月1日の取締役会で正式決定する予定.

 

岡山県,瀬戸内地域の近現代建築のPRを行う「瀬戸内近現代建築魅力発信協議会」を発足

去る10月25日,岡山県は,「瀬戸内近現代建築魅力発信協議会」の設立を発表した.同会は,瀬戸内7県兵庫県岡山県広島県山口県徳島県香川県愛媛県の建築・観光部局,せとうち観光推進機構が構成員となり,瀬戸内地域に現存する戦後の近代建築の観光資源化のため情報発信,プロモーションなどを行うことを目的として設立.同日に公開された資料では,「若人の広場公園丹下健三,本誌1506),「萩市民館菊竹清訓,同6907)などが対象例として挙げられた.同会は今後,シンポジウムの開催や各種企画の実施を検討している.

 

名古屋市久屋大通公園整備事業,Park-PFI事業者の募集開始

去る10月31日,名古屋市は,「久屋大通公園(北エリア・テレビ塔エリア)整備運営事業提案」の公募手続きを開始.全国で初めて大規模Park-PFIが導入される.

Park-PFIは2017年6月15日に施行された改正都市公園法で創設されたもので,特定公園施設等の整備・改修等を一体的に行う者を,公募により選定する制度.本事業では民間事業者が同公園の北エリア,テレビ塔エリアで公共施設と民間施設の一体的な整備,運営を行う.提案書の提出期間は2018年1月18〜22日.審査は2段階で,プレゼンテーション・ヒアリングを行い,同年2月中旬に契約候補者を決める予定.

 

元倉眞琴氏逝去

去る11月16日,建築家の元倉眞琴氏が逝去された.享年71歳.

元倉氏は1946年千葉県生まれ,1971年東京藝術大学大学院建築専攻修了後,槇総合計画事務所に入所.1980年にスタジオ建築計画を設立.1998〜2008年東北芸術工科大学環境デザイン学科教授,2008年〜東京藝術大学美術学部建築科教授を経て,2014年からは東京藝術大学名誉教授.1995年には2タイプの住棟の構成で豊かな「集まって住む場」をつくり出した「熊本県営竜蛇平団地」(『新建築住宅特集』9412)日本建築学会賞を受賞している.